福井県の伝統工芸のひとつ、越前焼のルーツは、
約850年前平安時代後期から始まっているといわれています。主に水瓶やすり鉢などの日用的につかわれる日用雑品が作られていたとされています。北前船が発達していた福井県は、この越前焼を北海道や島根まで流通させ、産地として発展しました。
しかし、水道の普及や陶業の普及により、一時、越前焼は衰退します。これを乗り越えて、また昭和23年には小山冨士夫氏によって越前焼が「日本六古窯」として、全国に知られる焼き物となりました。さらに、伝統工芸品の指定を受け、日本遺産の認定も受けることで、県外だけではなく海外にも発信をし、広く知られる存在となりました。
越前焼の鉄分の多い土は、温かみのある渋い素朴な焼き上がりが特徴とされています。過剰な派手さはないですが、土を活かした優しい風合いが上品な仕上がりを作り上げています。
力の入り具合で何度も形が崩れます。
宗倉さんに丁寧に教えていただきました。ありがとうございます。
先日、宗倉陶業さんにて、私も久しぶりに陶芸の体験をさせていただきました。越前市に生まれた私は、学校の遠足や授業の一環で、越前和紙、越前焼などの体験をしたことがあります。今回は初めて、足で踏んで回す自動のロクロを使い、カップをつくりました。手は微妙に変なところに力が入り、そして車の運転のように踏み込みすぎて、ぐるぐる高速で回ってぐちゃーっとなる。。を繰り返して。宗倉さんのお手を借りながら、なんとか出来上がりました。予想を超えた土の硬さやなめらかさ、水の調整などの難しさ、大人だからこそ道理のわかる貴重な体験になりました。そのあとの工程は、宗倉さんにお願いし、私の手が入っていないのではと思うほどの素晴らしいものが出来上がりました。どの伝統工芸もそうなのですが、一つ一つに手をかけ、時間をかけ、作品、商品を作り上げていきます。そのような逸品をエーデパでご紹介できることに改めて喜びを感じています。
形を整えてもらいなんとか作り上げました。
宗倉さんにあとはお任せ。こんな素敵なおちょこが届きました。
また、あかね陶房の山路あかねさんと月見清楽の片山裕二さんが弊社のカフェにて、地元の野菜いっぱいのランチプレートを目当てに来てくださいました。私もご一緒して、越前焼の奥深さや難しさ、楽しさなどを聞きながら人生初の陶芸家さんに囲まれたランチタイムを過ごしました。
エードットデパートメントストア店内にて、越前焼を前に話をする山路あかねさんと片山さん
酒器を作っておられるお二人に、吉田酒造さんの永平寺白龍てきてきシリーズ、水、土、米について、説明をすると、「私たちは土よね」と言って一本ずつ購入されたのも、「あ!っさすが」と思う瞬間でした。
宗倉陶業・宗山窯
手作りの食器、花生など作陶。宗山窯の2代目になり21年。作品づくりは勿論のこと、近くの保育園や小学校にも陶芸を教える活動も行っている。
あかね陶房
越前焼の女性作家として草分け的な存在の山路茜さんのあかね陶房。藍色に仕上がる釉薬使いの大胆なデザインやオリジナルの作風には根強いファンが多い。
月見清楽(近日中に販売予定)
東京・横浜でスペイン料理人として12年間勤務ののち、帰郷。自分の作った料理を自作の器に盛りたいという思いから、福井県窯業指導所に入所、技術を学び、2016年修了。福井市月見に工房を構え作陶を始める。元料理人が作り上げる陶芸作品は繊細で、和洋問わず食材を生かす仕上がりとなっている。
月見清楽 片山さんの「ハナビト」と器。近日エーデパでも販売予定
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五十嵐郁子
1975年生。東京在住。エーデパディレクター。福井県越前市生まれ。日本女子大学卒。大学生の2人の娘の母。東京福井県人会理事。福井市応援隊サポーター。