しかも、匠の技を受け継がれ、若狭めのう細工を扱える職人は現在ではたったお一方。宗助工房の上西さんです。
今までご縁もなく、やっと上西さんと繋がりができ、去年の9月にお宅を訪問させていただきました。
「若狭めのう細工でアクセサリーを作りたいんです!」
と話す私に、困惑しながらも若狭めのうの原石や鮮やかな赤い色に焼き付けた磨く前の若狭めのうなどを見せてくださいました。
縁起の良い鶯。一つ一つ磨き上げる技術。
若狭めのうの特徴はこのオレンジ色。磨き上げるともっと鮮やかに!
一つ一つ手作業で細かく磨いていきます
若狭めのう細工とは、もともとは高級品で、鳥や縁起の良い鯉などの置物によくつくられたそうです。置物などの需要が少なくなり、昔はおばあちゃんの家などでよく見た気がするものですが、今では私たちでさえも馴染みが薄くなりました。
そんな中、上西さんが
「これ何かに使えるといいんだけど。たくさんあるから」
と出して来られたものが、3センチから5センチくらいの細長い先の尖った赤みが強いものや黒っぽいものなどそれぞれの若狭めのう。
蒔絵の筆先に使われていた尖った若狭めのう
先代の先代の時代、蒔絵を施すのに柔らかさが絶妙なこのめのうを筆として使っていたという。
「そのひとつひとつの味わいを活かし、磨き上げて、雫型のピアスにするのはどうですか?」
という私の提案に
「いいかもしれないですね」
と快く同意をいただき、このSHIZUKU作りがスタートしたのでした。
この尖った若狭めのうをアクセサリーに
しかし、大問題はアクセサリーにするためのパーツ。
最近のハンドメイドブームでアクセサリーのパーツは専門店ができるほど、たくさんありますが、せっかくの若狭めのうを使った特別なピアスは特別な仕上がりのものがいいに決まっています。
そこでご依頼したのは、めがねの産地だからこそ生まれたチタン技術を扱う、チタン工房キムラの福田社長。(メガネのフレーム日本一を誇る鯖江のメガネのパーツには、このチタンが使われています)工場にめのうを持ち込み、この雫型にピッタリ合うパーツをチタンで作りたいという気持ちを伝えることができました。
雫型のめのうを測って検討中!
福田社長は首をかしげながらも、今までつくったもののパーツをいくつも持ってきて、これをこうして、短くして。。と素人の私にはさっぱりわからない感じ。笑
そして、できるというお返事をいただけて!
ここはもう福田社長を信じて、お任せすることに。
その後、何回か試作を繰り返してできたものには、縁起柄「麻の葉」が刻まれ、(麻の葉には、魔除けの意味や成長を願うという意味が込められています)想像以上の素敵なチタンのパーツ。何ミリかの世界のチタンを加工する技術は、メガネの街鯖江だからこそ受け継がれたもの。とても優秀な素材のチタンは、肌にとても優しい軽いものだからこそ、加工する技術者も会社も減ってきているそうです。
チタンのパーツに縁起柄「麻の葉」を刻む
チタン工房キムラの福田社長
チタンには麻の葉模様が刻まれています
若狭めのう細工職人上西宗一郎さん
出来上がったチタンのパーツに雫型の若狭めのうを取り付けて完成したものが、これです。
こうして、約4ヶ月かけて、一つしかない雫型のピアス「SHIZUKU」が出来上がりました。ピアスは、それぞれ色の出方も大きさも異なり、まさにたった一つだけのSHIZUKUになりました。また、若狭めのうには、「出会い、縁」という意味が込められているそう。まさに、チタンとの出会い、そして、気に入って購入していただいた方との出会いになるアクセサリーになりました。この「SHIZUKU」を2025年のラッキーアイテムにして、たくさんの良いご縁を紡いでいただければと思います!
【宗助工房】
若狭めのう細工職人 上西宗一郎さん
【若狭工房】
こちらにて、めのう細工の体験も可能です。
〒917-0081 福井県小浜市川崎3丁目4番
御食国若狭おばま食文化館2階
アクセス:舞鶴若狭自動車道小浜ICから車で10分
【チタン工房キムラ】
〒9190476
福井県坂井市春江町針原
** ** ** ** ** ** ** ** ** **
五十嵐郁子
1975年生。福井県越前市出身。東京在住。エーデパディレクター。福井県越前市生まれ。日本女子大学卒。大学生の2人の娘の母。東京福井県人会理事。
** ** ** ** ** ** ** ** ** **