実は人気全国No1!?日本で最初にタグ付けを行った越前ガニの魅力

実は人気全国No1!?日本で最初にタグ付けを行った越前ガニの魅力

福井の魅力と歴史 読む 実は人気全国No1!?日本で最初にタグ付けを行った越前ガニの魅力 1 分 冬だけじゃない!春夏秋にも楽しめる福井の海の幸

みなさん、福井に興味を持ってくださってありがとうございます!

前回は紫式部と福井(越前)の奥ゆかしさについてお話ししましたが、今回はお待ちかねの第三回、「実は人気全国No1!?日本で最初にタグ付けを行った越前ガニの魅力」をお届けしたいと思います。
福井に来るなら絶対にはずせないグルメが、この「越前ガニ」。鮮度はもちろん、冬の味覚の王様として多くの人々に愛されています。実際に食べられた方はその身の甘さと香り高いカニ味噌に魅了された経験があるのではないでしょうか? でも、なぜこんなにも越前ガニは絶大な人気を誇っているのか。その歴史と魅力について、じっくり掘り下げてみたいと思います。

越前ガニの歴史と“タグ付け”のはじまり

「越前ガニ」ってどんなカニ?

越前ガニは、ズワイガニのオスを福井県で水揚げした際に冠されるブランド名です。いわば「福井県産ズワイガニ」の証と言ってもいいでしょう。特に、黄色いタグがついたものが正真正銘の「越前ガニ」で、これは福井県が日本で初めて行った“ブランド化”の取り組みの結果でもあるんです。
(ちなみにメスのズワイガニは「セイコガニ」と呼ばれ、こちらも冬の味覚として人気です。)

なぜタグをつけるようになったの?

全国で唯一の皇室献上ガニでもある「越前ガニ」。その歴史は古く、明治43年12月に越前町(旧四ヶ浦町)で獲れた越前がにを皇室に献上したという新聞記事が残っています。しかし、明確なブランド化は実はもっと後の時代。昔、カニの産地証明は曖昧な部分も多かったのですが、「福井で水揚げされた品質の良いズワイガニを明確にしたい」という思いから、昭和40年代頃(1960年代後半〜70年代はじめ)にタグをつけ始めたと言われています。これにより“越前ガニ”というブランドが確立し、全国にその名が広まっていったのです。全国でカニのブランド化を初めて正式に導入したのが福井県とされています。平成30年には国が地域の農林水産物や食品をブランド化して保護する「地理的表示(GI)保護制度」に登録され、黄色タグも一新。国による品質のお墨付きを受けた「越前がに」は全国で愛され続けています。

地理的表示(GI)保護制度について(農林水産省HP)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/


越前ガニの魅力

1. 身の甘みとプリプリ感

越前ガニの魅力の一つ目は、その身の甘みとプリッと弾ける食感。日本海の荒波に揉まれて育つため、身がしっかりと締まり、噛むたびにカニ特有の旨みがじゅわっと口の中に広がります。
なかでも脚の先端部分は繊細で、口に入れるだけでホロリと崩れるほど柔らかな身。まるでお刺身のように、甘さをダイレクトに感じることができます。

2. カニ味噌の奥深いコク

カニ味噌が好きな方にはたまらないのが越前ガニの甲羅味噌。濃厚でクリーミーな旨みは、多くのカニファンを虜にしてきました。ぜひ身をほぐして甲羅の中に入れ、一緒に味わってみてください。味噌の奥深いコクと身の甘さが絶妙に絡み合い、“贅沢の極み”を堪能できるはずです。

3. 新鮮さを保つ流通体制

越前ガニは品質管理にもこだわりがあり、漁港から市場、そして食卓に届くまでのスピードが早いのが特徴です。鮮度が落ちる前にすばやく出荷されるため、遠方でも極力新鮮な状態で手に入るようになりました。こうした流通の工夫も、「越前ガニは外れが少ない」という評価につながっているのです。

越前ガニと福井県の“奥ゆかしさ”の関係

地域の誇りと品質への徹底した姿勢

越前ガニのブランド化が始まった当初、「自分たちのカニは特別だ」と大々的に宣伝するよりも先に、「しっかりとした品質を守っていくこと」を大切にしていました。このあたりに、福井県民の“奥ゆかしさ”が垣間見えます。
タグ付けをすることで産地偽装を防止し、消費者に安心を提供する――そうやって地道な取り組みを積み重ねた結果が、今の全国区の知名度につながっています。

漁師さんのプライドと控えめな語り口

実際に福井の漁師さんたちと話をすると、越前ガニに対する並々ならぬプライドを感じる一方で、「カニは自然の恵みがあってこそ」と控えめに語る方も多いそうです。漁獲についても福井独自の決まりごとで、資源保護のために甲幅9cm以上のものしか漁獲していません。また福井では「越前がに」に携わる人々の謂れとして「蟹見(蟹の目利き)10年、蟹炊き一生」という言葉があります。 良い蟹を見極めるのに10年。 蟹を美味しく調理するには、一生の修行が必要とされるくらい難しいとの意味が込められています。
このあたりは、長い歴史と厳しい自然に寄り添ってきた福井県の人々が培ってきた“謙虚”や“質素”といった武家気質や禅の影響――前回お話しした“奥ゆかしさ”に通じる部分かもしれません。

冬の味覚の王様としての越前ガニ

解禁時期と冬の風物詩

越前ガニは例年11月上旬に解禁し、3月中旬頃まで漁が行われます。解禁日には市場が活気づき、福井の冬のはじまりを告げる風物詩として地元の人々をワクワクさせてくれます。
街中に「越前かにまつり」のポスターが貼り出され、観光客も一気に増えるこの季節。熱気に満ちたセリの様子は、福井の冬ならではの光景といえるでしょう。

冬のごちそうと観光の楽しみ方

越前ガニを味わうなら、漁港近くの食堂や旅館に行くのもおすすめです。地元で獲れたばかりの越前ガニを、その日のうちにゆでたり焼いたり、場合によってはお刺身で出してくれる場合もあります。
さらに海沿いの温泉地に宿泊すれば、冬の荒波を眺めながらゆっくり温泉に浸かり、夕食に越前ガニ尽くしを堪能する――という贅沢なコースも堪能できます。まさに心と身体を癒す、福井の“冬の醍醐味”です。

まとめ:越前ガニは福井の“奥ゆかしさ”が育んだ至宝

越前ガニは、福井県が誇るブランド食材として、日本海の荒波に揉まれながらも高い評価を勝ち得てきました。その背景には、

  • カニ本来の美味しさを引き出すための流通や品質管理
  • 漁師さんや地元の人々の謙虚で丁寧な仕事ぶり
  • “タグ付け”を日本で初めて導入した先見の明と地道な努力
    が大きく影響しているのです。

そして、奥ゆかしくも地元の宝を大切に想いながら、それを全国へ発信していく姿こそが、福井県民が歴史の中で培ってきた“奥ゆかしさ”と”禅の姿勢”の現代的な表れではないでしょうか。

みなさんも冬のシーズンに福井を訪れた際には、ぜひ越前ガニを味わってみてください。きっとその甘みと香ばしい香りに、とりこになってしまうはずです。

次回、第四回は「冬だけじゃない!春夏秋にも楽しめる福井の海の幸」を予定しております。お楽しみに!